育て上げブログ

2022年07月29日

若者に「自己負担」を強いる前に、私たちができること。


交通費・通信費等の負担 

育て上げネットの事務所から立川駅まで、徒歩15分くらいなので歩くことが多いのですが、雨だったり、時間がないとバスに乗ります。だいたい200円くらいです。往復で400円。 

企業や自治体への訪問、誰かと話をするときは電車を使いますが、立川駅と新宿駅を往復すると1,000円くらいかかります。いまはオンラインを選択することが多くなり、移動もだいぶ減りました。 

業務であれば移動費用の多くは法人経費となり、自己負担にはなりません。通信回線も、法人のものを使いますので、自分のお財布から利用料を支払うこともありません。 

しかし、プライベートで移動するときは、当然自己負担になりますので、ちょっと友人と都内に会いに出ると、移動だけで往復1,000円以上かかります。懐には痛手です。 

若者たちが育て上げネットへの相談、プログラムの利用を希望するときだけでなく、企業でのインターンシップや、スタッフの専門視点で別支援が受けられる場所(ひと)へつないだり、本人にとってよい機会になるのではと思うとき、交通費など実費の負担部分が頭に浮かびます。 

私たちの場合、若者の多くは現時点で収入がなく、加えて貯蓄がなかったり、保護者の援助を受けられない若者もいます(増えています)。どれほど未来が拓ける可能性があっても、経済的に厳しいことがわかっていれば、気軽に提案することはできません。

あるひとにとっては「たったの1,000円」でも、別のひとにとっては大きなトレードオフとなり、衣食住を削らなければならないことがあるからです。 

自己負担を回避できると何が起こるのか 

いま、私たちは若者への交通費や通信費をまかなうマンスリーサポーター(寄付者)を募っています。 

こちらのサイトでは、取り組み概要やサポートのお願い、活動状況で寄付者の人数や月額で預かる金額を、どのように使わせていただいているのかを報告しています。 

‣ 貧困・困窮状態にある若者の「実費」を肩代わり!継続支援のお願い 

今年度の5月から、夜のユースセンターとして、夜間帯の居場所を作っています。そこはゲームなどをしてもよく、何もしなくてもよい場所です。来所する若者には夕食(地域の個店からのお弁当)を準備しつつ、帰りに食糧や生活用品を持っていってもらってもいいようにしています。 

ある職員から、夜のユースセンターにつなぎたい若者がいると担当者に話がありました。しかし、その若者は関心を寄せているものの、現時点では収入がないため、そこに行くための往復の交通費がかかると、来所を回避されるかもしれないということでした。 

私たちの仕事のひとつは「つながり」を作ることです。もちろん、オンラインで話をして、食糧などを郵送することもできますが、若者が希望するのであれば、ひとのつながりや、同世代や大人との交流、何よりも、安全で安心な場を利用してもらいたいと考えています。 

若者は来所利用を希望され、交通費という課題があり、その課題を知っているからこそ、ある職員は夜のユースセンターの存在を伝えるかどうか迷っていました。よい情報だけど利用できないとなると、期待値だけをあげて、自尊心を削いでしまいかねないからです。 

しかし、私たちにはサポーターのみなさまからお預かりしたご寄付で、交通費などをカバーすることができます。結果として、ある職員は若者に夜のユースセンターについて、交通費のサポートができることをセットで伝えることができました。 

現場支援者は、相談や日常のかかわりを通じて、その若者の経済状態を理解・把握しています。そのため、その若者にとってよい情報があっても、実費負担が発生することで、その情報を出せなくなるジレンマを抱えることがあります。 

さまざまな機会が公的・民間事業が提供しており、利用無料のものもたくさんあります。●●できたら××円が提供されますというものも存在します(民間)。しかし、少なからず「実費分は自己負担」のものがありますので、育て上げネットでは、若者たちが「これだ!」と思ったとき、その行動を実現できるよう負担をカバーできるようにしつつ、事例や実績を重ねて、実費負担分について悩まずにさまざまな諸制度や機会を利用できる社会にしていきます。 

育て上げネット
工藤啓

 


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