トピックス 若年無業者の実態

2015年12月24日

「キャリアの見通しが不安」
~非正規経験×20代前半の若年無業者~


 『若年無業者白書2014-2015 –個々の属性と進路における多面的分析-』【第1章】において、「年代」「職歴」「無業期間」を中心に群分けして若年無業者の実態を理解する取り組みを行った。【第1章】から、20代前半の無業の若者で、非正規の経験しかない若者についての"来所目的"に関するデータを引用し、彼らの抱える課題について記述していく。

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 20代前半の無業の若者で、非正規の経験しかない者(以下、〈非正規経験しかない20代前半無業者〉と表記)とはどのような若者だろうか。そこには、学卒時の新卒採用で内定を得られなかったケースや中退などで新卒採用に乗れなかったケースが含まれている。非正規として働いた経験はあるものの正規職での経験を持たない若者は、どのような課題を抱えて来所しているのだろうか。

 図1-0-1は、若年無業者を職歴ごとに群分けし、支援機関に来所した目的をみたものである。図1-6-1は、来所目的について、〈非正規経験しかない20代前半無業者〉と〈非正規職歴全体〉・〈20代前半全体〉を比較したものである。〈非正規職歴全体〉の数値は、若年無業者を職歴ごとに群分けした場合の、〈非正規職歴〉無業者全体を指す。〈20代前半全体〉の数値は、若年無業者を10代・20代前半・20代後半・30代に群分けした場合の、〈20代前半〉無業者全体を指す

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 まず、職歴ごとの特徴をみる(図1-0-1)。〈非正規職歴全体〉は「働ける自信をつけたい」「漠然とした不安を解決したい」が他の職歴より高くなっており、これらの課題は〈非正規職歴全体〉の特徴である。これらから、非正規で働いた経験は自信につながっておらず、自らのキャリアに不安があることが分かる。また、非正規という不安定な状況にいたために見通しがつかない状況への課題意識が高いのかもしれない。
 次に、〈非正規経験しかない20代前半無業者〉の特徴をみる(図1-6-1)。「社会性を身につけたい」が〈非正規職歴全体〉よりも高くなっている。20代前半では社会人としての経験も少なく、非正規であったために社会経験の不足を感じており、支援を求めているのであろう。

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 本記事では〈非正規経験しかない20代前半無業者〉の抱える課題について明らかにした。
 『若年無業者白書2014-2015 –個々の属性と進路における多面的分析-』にて、若年無業者の実態を明らかにするため、さまざまな観点から調査・分析を行った。【第1章】では、若年無業者を「年代」「職歴」「無業期間」の3つの要素を用いて、その特徴や注視すべき点を順に見ている。定量的なデータをもとに、若年無業者のニーズ・課題・受けるべき支援がどのように変わるかを支援現場で得られた経験もあわせて解説している。【第2章】では、どのような無業の若者が支援を経て進路決定するのか・支援を経ても支援中断するのはどのような若者なのか、来所時シートと支援データから定量的に分析し考察している。支援の結果、どのような進路決定となっているのか、についても分析した。【第3章】では、育て上げネットの自主事業「ジョブトレ」と、行政連携事業「地域若者サポートステーション」を比較し、進路決定という支援の効果について分析した。

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