育て上げネット

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利用者の声

コミックエッセイ発刊記念

2度の就活機会を逃してしまった長男を見て、[結]にSOSのサインを出した。「前編」

刈谷陽子さん(仮名)は夫と息子さん二人の四人暮らし。
長男の裕司くん(仮名)は大学4年時に公務員試験を受けたが不合格。
もう一度4年生をやり直したが、就活できないまま卒業することになった。

大学を卒業したのに毎日家にいる息子を見て、
砂の中にずぶずぶと沈み込んでいくようでした。

うちの長男は、大学4年生のとき公務員試験を受けたんですが、落ちてしまいました。
「1年間卒業を延ばさせてほしい。もう一回挑戦したい」。
長男はそんなふうに私たちに言いました。それで、私も夫も1年間見守ることにしたんです。

こちらとしては心配ですから、夏ぐらいから「どうなの?」と聞き続けましたけど、のらりくらりとかわされる。「そのうちね」「うん、うん」と言うだけです。どれだけ言っても返事がないものだから、こちらもだんだんと聞くのがイヤになりましたね。

本人も追い詰められるのがイヤだったんでしょう。夫が「就職はどうするんだ」としつこく聞いたときは、夫がいるとごはんの時間にも降りてこなかったですね。

結局、2年目に公務員試験を受けることはありませんでしたし、就職活動もしませんでした。なんにもしないまま卒業を迎えてしまったんで、本人は「僕はもうダメだ」とそうとう落ち込んでいました。

もちろん私もつらかったです。
「この子は4月からニートになるんだ」……。
ずぶずぶと砂の中に沈み込んでいくようで、私が鬱になりそうでした。
私自身、精神科に通おうかと考えたこともあるほどです。

「この人たちになら、なんでも話すことができる!」
相談員の説明を聞いて、直感的に「ココだ」と思った。

誰かにウチのことを相談したい……。
そう思った私はさっそくインターネットで検索しました。「ニート」とか、「相談」とか、思いつく限りの単語でひいてみましたね。

そのときは、自分たちでなんとかするのは無理だとわかっていました。誰かの力を借りないと、ただ暗闇の中でぐるぐる回るだけだと思いました。
ひきこもった子どもが親を殺す事件を耳にすることがありますよね。私は、自分の家でもそうなってしまうのではないかと不安でした。
だから早めに、親が外に向けてSOSを発信したほうがいいと思ったんです。

いろいろと検索しているうちに、「サポステ(地域若者サポートステーションのこと、以下サポステ)というところがあるらしい」とわかってきました。
ちょうど近くのサポステでやっていた「困っている親のための講演会」に行ってみたところ、そこでもらったチラシで[結]のことを知ることができたんです。

見た瞬間、「親がいろいろとグチをぶちまけられるところだ!」と思いましたね。

さっそく[結]の説明会に行ってみたところ、「ココは私に合う」と確信しました。そのとき、説明してくれた相談員の森さん、森本さんを見て、「この人たちにだったらなんでも話ができそうだ」と思ったんです。
あとは、親同士、悩みを打ち明けあえる場があるというところもポイントでしたね。とにかく同じような立場の人たちと話がしたかったんです。

親には見えなかった本人の危機感。
親も子も「ここでお世話になろう」と思うことができた。

実は、[結]の説明会に行くとき、ちょうど育て上げネットがやっているサポステが立川にあったので、息子にも一緒に行かないかと誘ったんです。
そのころの息子は、昼ごろに起きてきて、だらしない格好で毎日を過ごしているような状態でした。

彼は乗り物が大好きなので、「モノレールの駅の近くらしいよ」とニンジンをぶら下げて……(笑)。長男も家の近くだったらイヤだったようですが、自宅からはほどよく遠いのがよかったのか、なんと「じゃあ、行ってみる」と言ったんです。

本人も危機感を感じていたんでしょうか。かたくなに就職の話は避けようとするのに就労支援の場所に行くなんて……。ダメもとでしたけど、言ってみた私のほうが驚きました。
このときの彼の心境はわかりません。私はいまだに不思議だなと思っています。

私と息子は別々に行きましたけれど、お互いに「すごくいいから、ここにお世話になろうか」と決めました。長男は、月に何度かサポステに通うことになりました。

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