育て上げネット

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利用者の声

ジョブトレ

ひきこもって13年 30代半ばでも「適職」をみつけて社会へ

ヒデキさん(仮名)さん 男性46歳
ジョブトレを約1年半利用
*年齢は取材時

10年余り社会と繋がらずに過ごした末に、家族に背中を押されて育て上げネットにつながった、清掃会社勤務のヒデキさん。ひとたびジョブトレに来はじめるや、どのプログラムにも真面目に取り組んだ末に適性を見出し、就職しました。アルバイトから始め、ひとつの会社に勤続12年というのは、ジョブトレ卒業生の中でも長いほうです。しかし、30代半ば、職歴ゼロでの就活は苦戦。それを「落ちるのは当たり前」と淡々と振り返り、困難をどう乗り越えていったのかなども、飾らずにお話いただきました。 

 二浪して大学に入ったものの、夏休み明けから足が向かなくなって、そこから約13年間、どこにも所属していませんでした。といっても毎朝きちんと起きて、家を出る。行くところがないから、主に公立図書館をあちこち巡って、時間をつぶしていましたね。ときどき父親に「どうするんだ」程度は聞かれましたが、姉や母はそういう話題を避けていました。実は私は小学校の頃からいじめとか明白な原因はなかったのですが不登校気味だったんです。学校に行かない時期にもやっぱり家族に登校を無理強いされたり、理由を問い詰められたりしたことはほとんどありませんでした。 

 長いひきこもり生活に転機が訪れたのは、姉が結婚して姪っ子が生まれた頃です。ちっちゃい頃はただ遊んでいたのが、だんだん大きくなると「あのおじちゃんは何をしてる人?」って姉に聞くようになる(笑)。このままじゃいけない、と姉夫婦も話し合ったようです。ある日家に来た姉が「ヒデキのこと、どうするのよ」とひと言。それがきっかけとなって、父といっしょに飯田橋の「東京しごとセンター」に行き、最終的に立川のサポステからジョブトレにつながったのです 

 私の家からは片道1時間半くらいかかるのですが、ジョブトレには最初から週4日くらいのハイペースで通いました。「ああよかった、助かった」という感じでしたね。実はもうずっと、ひきこもりをやめたくてたまらなかった。けれどもやめるきっかけが分からないし、どうにも動き出せない。なので「これであの生活を終わりにできる」とせっせと行きました。あえて不安だった点をあげるとしたら、ジョブトレにはどういう人たちが来ているのだろうということくらい。でも行ってみたら、なんか普通の人ばっかりでした(笑)。 

 作業は基本的に単純な軽作業やビルの清掃、農作業がほとんどで、辛くはなかったです。性格的に、やるからには一生懸命、手を抜かず精一杯やっていたと思います。 

 そもそもスタートが33歳くらいと遅かったので、ジョブトレに延々と通っている場合ではないと思っていました。でも本音を言えば、自分が普通に就職なんてできるのか半信半疑でもあったんです。1年ちょっとたって、会社に見学に行ったり、採用試験を受けたりするようになりましたが案の定、苦戦しました。30代半ばで履歴書に職歴が何もないなら、それは面接を落ちますよね。10社くらいはダメでした。でもスタッフの人から、職歴はなくても職業訓練を受けたことを書けばいい、みたいに履歴書や面接のアドバイスをもらえたのはありがたかったです。100社くらい落ちるつもりで頑張ろう」って言われて、かえって覚悟が固まって自分としては、希望の職種云々なんて言える立場じゃないですし、正直、雇ってくれるならどこでもかまわなかった清掃作業でトイレをピカピカにしていたことをすごくほめてもらっていたこともあって、結局、清掃会社のアルバイトに採用されました。働いてダメだったらまたジョブトレに通えばいいや、みたいに思ってたので(笑)、仕事へのプレッシャーはなかったですね 

 会社に入ってすぐ、清掃の現場でパソコンを使える人がいなくて、私がちょこちょこ操作したら「おまえ、すげぇな」って……。それで事務作業を任されるようになり、少ししたら現場の責任者に。入って数年くらいで正社員になって、現在は12年目で管理業務を担当しています。家に入れる金額が少し増えたり、姉の子どもたちにお年玉をあげたりできることは、うれしいです。 

 現在の仕事に大きな不満はなく、転職なども特に考えていません。ただ、もう少し収入を増やしたいなと思って、メルカリのようなフリマアプリを活用したりして、副業、副収入の道を少し探っているところです。 

【スタッフ・阿部より】

当時はガツガツ引っ張っていくスタッフが、おとなしいヒデキさん次々といろな作業、とき無茶振りしていたことを思い出しますご本人も自分を変えなくてはいけない、と決意して通って来ていたでしょう。面接に何回か落ちてもみんな励まされて、静かに挑戦し続けていました。あと、やっぱりお掃除は上手にやられていて、「トイレの神様」と呼ばれていましたね(笑)。 

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