自立応援プラットフォーム『よこはま東部ユースプラザ』

よこはま東部ユースプラザ

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お知らせ

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2015年12月23日

~若者の現状を知る、関心を持つ~ 7回連続無料セミナー 第7回「若者達への関わり方」 開催レポート


12月12日、連続セミナーの最終回となる第7回を開催し、27名の方が参加。

前半は、「若者たちとのかかわり方ーどのように関わるか?」と題し、神奈川大学教授として教鞭を取られ、また自身も臨床心理士として多数の若者や子供の支援に関わられた経験のある杉山崇氏より、お話をいただいた。

杉山氏は、まず海外の孤児院に預けられた子供たちの悲しげであったり、焦点の定まらない表情の写真と、その子供たちが里親の基で暮らすようになった後の穏やかな、そして落ち着いた表情となった写真を紹介された。そしてそれらの写真の比較を基に、周囲の大人との関わりが子どもの表情や心に与える影響からお話を始められた。

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その中で、人間は生物というだけでなく、コミュニケーションを通じて人との関わりを必要とする社会的な存在であること。そして紹介した写真は、子どもたちにとっていかに大人が彼らに手を掛けているか。それを子どもたち自身が感じ取れていることがいかに大切であるかを表したものであるとの説明がなされた。

またこうした関わりを得られないことから来る、自分を嫌になり、そして他人との関わりすらも嫌になる感情を「被拒絶感」という言葉で表現をされ、日本人の小学生1,000人を対象とした調査でも、10~20人に一人はこの被拒絶感を抱いていること。こうした感情は脳の偏桃体という人の感情を司る部位から沸き起こるもので、そのエネルギーは大きく、被拒絶感を持った子供は嫌な感情に巻き込まれてしまい、コミュニケーションが取り辛くなってしまうこと。ただ、それでも付き合おうという大人がいないと、子供はさらに被拒絶感を強めてしまうことなどが、脳の機能のお話も交えながら説明がなされた。

続いて、こうした被拒絶感に対し、当人の被受容感を高めることが必要との説明がなされた。被受容感とは、自分が好意的に周囲に受け入れられていると感じられ、心が穏やかになる感情を表す言葉である。そしてこの被受容感を当人にもたらすために、周囲の人間は、彼らが好む話題、興味や関心のある話題に対して好意的に共感することが大事だとし、例えば子どもの文化に興味を持ち、彼らから教えてもらう姿勢を見せることも、被受容感を育む方法の一つであるとの説明がなされた。

そしてまとめとして、被拒絶感の高い子どもたちは、人間が脳の中に本能として持つ「他人を警戒する本能」と、「他人と近づきたい本能」が共に強く、その両方を行ったり来たりしていることを彼らの周囲にいる支援者は知っておく必要性があり、彼らの関心や興味を引くこと上手を使いながら、彼らとの距離と関係を取っていくことが支援を行う上で重要であるとのお話がなされた。

杉山氏のお話に対しては、会場からは、今回の話はどの年齢までの人間が対象なのかとの質問がなされた。

これに対し杉山氏は、これは全ての世代の人に共通の話であり、なぜなら子どもの心の上に、経験や知識が積み重なって若者や大人の心が作られていること。それゆえにその人が持つ「子どもの心」が何を訴えているかに目を向けることもとても大事であるとの説明がなされた。

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後半は、よこはま東部ユースプラザのスタッフに杉山氏も加わっていただき、よこはま東部ユースプラザが若者に提供する「居場所」に関わるメンバーの視点から、これから若者支援に関わりを持っていただきたい方々に向けて、若者への関わり方についての座談会を開催した。

座談会に参加したのは、社会人をしながらインターン(ボランティア)として居場所のスタッフを二年ほど続けられている海老塚氏。社会人の時に始めた当プラザへのインターンを経てプラザを運営する認定NPO法人育て上げネットの正規の職員となった平松氏。そして臨床心理士の資格を持つ専門職として、また当プラザスタッフを代表して登壇した鎌田氏の三人である。

個々に自己紹介をしていただき、若者支援に関わるきっかけ、その中で自身が感じたことや自分自身の変化。また地域において若者を支援することを自身がどのように感じているかなどをお話ししてもらい、それに杉山氏がコメントや質問を入れていただく形で座談会は進められた。

その中で、各スタッフが触れた印象的なエピソードをそれぞれ紹介させていただくと、まず海老塚氏からは、社会人としての生活と並行して行っている活動でもあるため、とにかく自分自身が無理をしないことを大事にし、月二回までの参加を自分のルールとして決めていること。また海老塚氏は生まれも地元の鶴見区であるが、その地元(地域)で地域に暮らす若者の支援に関わることにやりにくさは感じておらず、むしろ楽しくやらせてもらっていることなどを参加者に向けて語られた。

また平松氏は、自分の若者への関わり方として、まず自分が若者と関わることを楽しんでおり、それを大事にしていること。そしてそれまで距離があると感じていた若者とプラザのイベントで外出をした際、自分が降りるべきバス停に気付いていなかったことをきっかけに、ある若者と会話をするきっかけが生まれた話などもされ、若者たちと過ごす一つ一つの時間を常に大切にしていることなどをお話された。

そして鎌田氏は、登壇したスタッフの中では唯一臨床心理士という専門的な資格を持つ存在ではあったが、そうした資格を持つことについて、若者との直接の関わりの中では意識することがなく、むしろ資格は関係ないのではないかと感じていること。また当プラザが提供する居場所事業についても、居場所で行う一つ一つの活動にも意味があり、例えば若者達の自主的な活動で料理を楽しむクッキングサークルにしても、集う若者達の中には、食材を買い物することや、調理すること自体経験を持たない者がいること。そうした若者達が買い物や調理の経験を行うことそのものが非常に大切だと思っていること。なぜなら、それらがすぐに彼らの就労につながるわけではないが、生きていくためのスキルを身に付けるきっかけとなり、経験を通し成長があること等の話を紹介していただいた。

また杉山氏からは、スタッフのこうした発言を踏まえて、支援者としての活動には若者への「関わり」と「観察」の二つの視点が欠かせないが、一方で、両方を同時に行うことは人間には出来ない面もあること。そのことを支援に関わろうとする者は知っておく必要性があるとの説明がなされた。

そしてそのような難しさがある中でも、支援者自身ががまず活動を楽しむ気持ちを持ちつつ、若者と関わっていってほしいとのお話があり、それは座談会に参加した各スタッフも大きく賛同するものであった。

最終回は、参加者こそ多くは無かったものの、実際に支援に関わる専門家、そしてスタッフからの多様な意見やコメントに触れるきっかけとなり、一つ一つのコメントに大きく頷いたり、熱心にメモなどを取る姿などが見られた。

【参加者コメント】

・これからも若者の現状を知ってもらう機会をつくっていってほしいです。より多くの方に参加していただけたらと思います
・これからもこのような講座が開かれ、社会に困っている若者を受け入れてもらえるようになると嬉しいです
・杉山さんのお話も「心理」という視点からも理解できました。東プラのスタッフの方たちにも共感しました
・パネルディスカッションも大変勉強になりました。


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