自立応援プラットフォーム『よこはま東部ユースプラザ』

よこはま東部ユースプラザ

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お知らせ

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2015年12月06日

~若者の現状を知る、関心を持つ~ 7回連続無料セミナー 第6回「家族を支えるには」 開催レポート


第6回セミナーは、36名が参加。
第一部は、若者の支援を行う株式会社を設立され、よこはま東部ユースプラザでの居場所の支援にも関わりを続けられている株式会社シェアするココロの石井正宏氏より「困難な若者を抱える家族の現状と課題」と題してお話をいただいた。

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石井氏のお話は引きこもりの現状に関するデータの紹介から始まった。そのデータを踏まえた上で、支援には「先天的想像力」と「後天的創造力」が必要であり、先天的とは思いやりや気遣いなど人が生まれながらに持っているもの。一方の後天的とは、データや経験、ネットワークといった若者の支援に必要なスキルやツールのことであり、この二つの想像力の掛け合わせが「支援力」となり、当事者の若者やその家族に響く声掛けの基になるとの説明がなされた。

また保護者は引きこもり中の若者に会える唯一の存在であること。その親をエンパワーメントすることを通じて若者の自立を促していくことが重要であること。そして親子のパワーバランスを組み立て直すことが支援においては必要であり、保護者は支援者にHOW(どうやって、どうして)などの解決策を求めてくるが、支援者はWHY(なぜ)、すなわち個々の若者がなぜ引きこもりなどの状態になるのかを考え、それに対して向き合うことが重要であることなどをお話された。

そして保護者の支援においては

・親にしか出来ない、支援者にしか出来ないことがそれぞれある
・親と子の絆は強くて固い
・特定の出来事を原因とせず、子育てを反省しない

の三つの原則があり、支援者は保護者を責めても何も変わらないことを自覚し、保護者に対し好意的な関心を持ち、保護者を肯定することが大切であることを繰り返し述べられた。

さらに引きこもり中の若者については

・考え中モード
・お手上げモード
・ぼけっとモード

の三つの状態があり、どれも見た目が同じに見えるため保護者も子供の状態を間違えて捉えやすいが、実際には子どもはこのモードを循環していること。さらに各パターンでの親の態度としては

・考え中のときは、親も待つ
・お手上げのときは、提案を行う
・ぼけっとのときは、介入する

が若者にはそれぞれ有効であるとの説明がなされた。

石井氏は最後に、支援には想像力、特に後天的想像力が求められること。そして親だから出来ることを親自身が知り、それを基に保護者も、そして支援者も支援を考えていくことの重要性を重ねて強調された。

そして第二部は、認定NPO法人育て上げネットにて若者支援を続けてこられ、家族支援の経験も豊富な森裕子氏より「家族をどう支えるか」をテーマにお話をいただいた。

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森氏は、石井氏のお話を踏まえ、より実践的な保護者への関わり方についてお話をされた。
例えば支援者からのエンパワーメントとしては、相談をしてきた保護者に出来ていることがあれば、それしっかりと誉め、きちんと保護者に言葉にして返すこと。これが一番大切であるというお話を冒頭にされた。

そして森氏はお話の中で、「家族は揺れる」ものであること。その揺れを止めるために、保護者に安心してもらうことが大切であること。支援者はそのために家族、そして保護者に支援の具体策や見通しを伝えるなどの対応を通じて家族をサポートすることを、「緩める」という表現を使いながら、参加者に向けてお話をされた。

家族、保護者の支援においては、「避難」、「否定」、「批判」が禁断の3Hであること。
「でも」、「だって」、「どうせ」という必然の3Dという言葉を用いながら若者がやる気を失い、周囲から認められないと自ら自分を追い込んでいくプロセスについて説明をされた。そして支援者のエンパワーメントを通じてこの渦中にある保護者を支え、若者に対しても様々なアプローチがあることの重要性を伝えられていた。

また家族支援においてはジェノグラム(家族関係図)を用いることで世代にまたがる家族の関係を図式化し、困難を抱えた若者を「個」としてとらえるのではなく、家族関係の力学から見ていく視点についても紹介をされた。

最期に森氏が強調されていたのも、石井氏と同じく、支援者は保護者のサポートを行うことを意識して欲しいという点であった。

その後は石井氏と森氏が各々のお話の感想を述べられ、会場からの質疑応答が行われた。
会場からは、保護者にもぼけっとモードした見えない状態に対してどのようにその状態を評価するのか。また、40歳を超えて引きこもり状態にある人の支援について質問がなされた。
前者については、保護者からの聞き取りや、保護者の表情や対応なども見ながら状況の仮定を行うこと。時には保護者から若者への働きかけを依頼し、その反応の聞き取りをするなど、様々な情報の積み重ねから判断していくこと。後者については、40代の支援は大切で、わずかではあるが支援の窓口も存在すること。一方で、親自身も高齢化しており、対応として難しい面もあることなどが、石井氏、森氏から素直に語られた。

質疑応答においても積極的な質問がなされ、保護者への関わり方についての関心が高いことを会場の参加者からも感じられる回となった。

参加者の声:
・引きこもりの若者を支えるために居場所の支援が重要であるということが良く分かった
・具体的に保護者へどの様な対応が良いのかを聞けて良かった
・引きこもりの人の現状を全く知らなかったので、とてもびっくりした
・保護者への関わり方の事例が聞きたかった


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