育て上げブログ

2019年03月29日

現場に来てみて、やっと就労支援の意味がわかりました


支援を報告する

PCルームはひとであふれていました。大手人材ビジネスの方も、先日からアルバイト採用となった学生も、働くことに不安を感じている若者も、そして普段は就労支援プログラムとは異なる業務をしている職員も、その視線は前方に立つ若者たちに注がれていました。

若年者就労基礎訓練プログラム「ジョブトレ」のなかでも、ITに特化したプログラムである「ジョブトレIT」の受講生は、プログラム内での研修を終え、これから各社希望のインターンシップ先に向かいます。

就職支援と就労支援

ここまでの2カ月で、彼らが何を学び、どう成長したのかを自分の言葉とスライドを使って発表していきます。「就労支援」はとても理解が難しい言葉です。通常、「働く支援」で思いつくのは就職支援であり、求職者と人材採用を期待する企業とのマッチングは想像しやすいのではないでしょうか。

また、家事や炊事など身の回りのことができるようになる、または、できない部分をサポートする「生活支援」もイメージがつきやすいかもしれません。

就労支援は、生活支援と就職支援の中間的な場に位置づけられることが多く、働くことに不安や課題を感じている方が、就職活動に踏み出すまでの間を伴走していきます。働きたいとは考えている。でも、就職活動に踏み切れない。そんな若者が日本には40万人から100万人ほどいます。

チームで仕事をする

ジョブトレITで何をしたのか、具体的には基本的なプログラミング(的)技術と一般的なビジネスシーンで使うスキルを身に着け、仮想企業からの受注を通じて、クライアントとコミュニケーションを取り、商品開発から納品という一連のプロセスを踏みます。これを軸にしながら、働くにかかわる周縁的なものも学んでいきます。

納品した製作物のプレゼンテーションを終え、チームから個人となって自身の学びについての発表を聞いていました。プログラムを通じての学びで今回(第11期)印象的だったのは、「説明すること」「わからないことこそ早めに相談すること」「途中経過を確認すること」そのようなことがチームで仕事をする際、重要です。

その重要性は認識していたが、実際に疑似的ではありますがチームで協働し、商品開発をするなかで、重要性を再認識し、そして具体的にそれをやってみて、それがどのようなことだったのかを理解したという話が多く出ました。わかっているけれどやったことがないことが、やってみることを通じてやれる、やったほうが仕事もコミュニケーションもスムーズになるということに気が付いたと言います。

「働く自信を獲得したい」

これは現在無業の若者約2,000名の調査を通じて、就職支援ではなく、就労支援プログラムに参加した若者たちが最も多く望んでいた「ニーズ」です。このニーズに応えることが就労支援団体の役割のひとつですが、今回のジョブトレIT受講生の報告を聞いて、「働く自信」が確実に芽生えていることを実感しました。

上述したように、今回は大手人材ビジネスの社員さんが複数来られていました。そのなかで、おひとりが報告会終了後におっしゃったことがタイトルの通りです。

「現場に来てみて、やっと就労支援の意味がわかりました」

育て上げネットでは、毎月定例で各支援プログラムの説明会を行っています。毎回、ご家族や若者が来られておりますが、プログラムに参加するしない以前に、そもそもどんなことをやっているのか、ぜひ、現場に来て、知っていただければと思います。

ジョブトレITでは、4月よりスタートする第12期の参加者募集を開始いたしました。募集人数は10名で受講料がかかります。ただ、経済状況等により受講料が無料となる枠を4つ準備しております。これらは個人および法人などからご寄付によって設定させていただいているものです。

プログラムに関心がございましたら、こちらのフォームよりお問い合わせ、お申込みください。

理事長 工藤 啓


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